13章 雪がとけたら、春がくる
- 目的:数学の「ならば」は日常語の影響を受けたりして、
理解しにくくなっている。
本章以下(13章〜16章)では、日常語との関連を見ながら、
「ならば」のまわりのことを説明する。
- 「ならば」の例:
以下のように、「なら」、「たら」あるいは「れば」なども用いられる。
- あした電話してくれたら、その件の返事をするよ。(日常語の例)
- 分数で表せれば、有理数だ。(数学の例)
- 日常語の「ならば」の分類
- 条件・仮定 「日曜日なら暇がある」(14章にある例)
- スイッチ文 「あの本屋が開いていたら、
この本を買ってきてくれ」
- 時間の前後関係 「春が終ったら、夏になる」
- 因果関係 「毒茸を食べると、病気になる」
- 数学の「ならば」の分類
0.条件・仮定 「偶数ならば、2で割り切れる」
- 「ならばの規則」:数学文の「AならばB」では、
AもBも、真偽性が判定できるものでなければならない(=述語である)。
- スイッチ文は、この「ならばの規則」に合っていない。
Bが述語でなく、「行動」になっている。
- 数学での「ならば」の意味:「AならばB」というのと「Aでないか、
あるいはB」というのが、論理的に同値である。(これは論理学での含意(implication)である。)
- Aが真で、Bが真のとき、「AならばB」は真。
- Aが真で、Bが偽のとき、「AならばB」は偽。
- Aが偽で、Bが真のとき、「AならばB」は真。
- Aが偽で、Bが偽のとき、「AならばB」は真。
- 「AならばB」の論理的な変形
- 逆 BならばA
- 裏 AでないならばBでない
- 対偶 BでないならばAでない
- 日常文をもとに、逆・裏・対偶などを考えはじめると、
いろいろと難しい点が見えてくる。
これらは、次章以下で扱う。